Twitterでサカイ引越センターの基本給が5万円だということが話題になっています。
「そんなに低いの!?」
「生活はどうしているの??」
など多くの意見で賑わっていますが、「基本給」以外にさまざまな手当がつき、額面上の給料が決まっています。
ですので実際に従業員に入る給料は、もっと多いということを最初に説明しておきます。
じゃあどうして労働組合側は問題にしているの?
それは最終的に従業員に支払われる賃金が低くなるためです。
今日はサカイ引越センターの労働組合の訴え内容と、基本給が低いことで起こる問題を解説していきたいと思います。
執筆者
sabi-Labs 管理人 さび
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サカイ引越センター労働組合側の訴え
今回サカイ引越センターに訴えを起こしているのは同社の労働組合。つまり働いている従業員たちです。
訴えの内容は、取得している給料のうち、基本給の割合が約15%しかない事で、計算するとおおよそ月に5万円ほどしか基本給が支払われていないというものです。
これにより基本給から算出される有給時に保証される賃金が、1日に5〜6千円しかなく、有給を取得すると給料が下がってしまう、という問題の改善を訴えています。
これに対してサカイ引越センターはメディアへのコメントは控えています。
労働組合とは
労働組合とは「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」、すなわち、労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るためにつくる団体と厚生労働省によって定められています。
賃上げ要求や、労働環境の改善は一人が声を上げても経営側と交渉が難しいですが、労働者が団結することで、経営側と対等な労使関係を築くことを目的として運営されます。
2名以上の労働者がいれば、自由に結成することが可能です。
サカイ引越センターの賃金
「基本給」とは一定時間働くと必ずもらえるお金の事ですが、その他様々な手当がついて額面上の賃金が決まってきます。
サカイ引越センターの賃金の割合を示すグラフが公開されています。
このグラフからは給料の半分以上は出来高による「業績給」によって構成されていることがわかります。
業績給とはいわゆる成果を上げた分だけもらえる賃金です。
その他、残業手当やさまざまな手当がついて、基本給が5万円だとすると約34万円ほど、額面上は所得のある計算になります。
それなりに貰ってるように思うけど、じゃあ何が問題なの?
それは基本給が減ることで、最終的には貰える賃金が少なくなってしまうためです。
基本給が低いことで減るお金
今回、訴えに起こされているのは「基本給が低いために起こる、有給時の所得低下」です。
もらえる賃金の中には”基本給を基に計算されるもの”が会社によって存在します。
ただ、実のところ基本給に関しての法律上の明確な定義はありません。また、他の手当に関しても同様で、最終的にもらえる賃金が、自治体の定める最低賃金を下回っていなければ、会社側にとって不都合はありません。
サカイ引越センターの場合は「有給時取得時にもらえる賃金」が基本給を基に計算されており、そのことが問題になっているのです。
ここでは、その他基本給が低いと下がる可能性のある賃金について紹介します。
残業代が減る
残業代は基本給を含めた時間単位の賃金基礎額に基づいて計算されます。
要するに基本給以外の手当も含んで計算されます。
ただし手当の中には、賃金基礎額から除外される手当もあります。
例えば家族手当、住宅手当、通勤手当などです。
基本給以外の手当がこの除外される項目であったり、基本給の割合がが低くければ、合計で算出される賃金基礎額も低くなり、結果的に残業代の金額も低くなってしまいます。
退職金とボーナスが減る
会社によって異なりますが、多くの企業では基本給を基に、ボーナスを算出しています。
例えば会社の規定でボーナスが基本給の3ヶ月分と定められていた場合、今回のように基本給が5万円であれば15万円しかもらえない計算になります。
退職金に関しても法律上の規定はないものの、通例上基本給をベースに計算される場合がほとんどです。
なぜ基本給を低くするの?
額面上の賃金は変わらないのにどうして会社側は基本給を低く設定するのでしょうか?
お気づきかもしれませんが、雇用主にとっては不要な人件費を減らしつつ、従業員のモチベーションを保てる、というメリットがあります。
毎月の給与の殆どを成果方報酬にして、成果の高い社員に高い給与を払い労働者側のモチベーションを保ちつつ、成果の低い人材の給与を低く設定したり、ボーナスや退職時など、会社にとってメリットの薄い出費を抑えることが出来るためです。
ですので、サカイ引越センターに限らず、基本給の割合の低い会社は意外とあります。
まとめ
サカイ引越センターと労働組合との問題をわかりやすく解説してみました。
基本給の考え方に法律上の明記や定義はなく、会社によって扱いが異なっています。
この記事を見て、自分の職場の規約を読み返してみたり、給与明細から基本給の確認をしてみると意外な発見があるかもしれません。